最近、マルフォイがにやたらと絡んでくる。

魔法薬学の授業では、
スネイプの指示で出来の悪いに(出来の悪いネビルにはハーマイオニーが付きっ切りだ)マルフォイが付いて調合を教えてもらっている。

「君は全く分かってないね?
やれやれ、スネイプ先生も君みたいな生徒には相当ご苦労されているんだろうね。
本当に、何故退学にならないのか不思議だよ。」

「いいかい?魔法薬学は他の授業と違って、とても繊細なんだ。
まあ、君みたいに大雑把で鈍感な人間には一生理解できないだろうけどね!」


飛行訓練でもうるさい。

「箒は乗る人間を選ぶんだ。
まあ僕に言わせれば、箒すらろくに操れない魔法使いがこの世に存在することが信じられないけどね。精々年を取ってボケ始めた箒を選ぶんだね!」

とか・・・・。

双子のウィーズリーもにちょっかいを出してくるけど、
双子とは全く違った角度からの攻撃に辟易していた。




あっという間に時が過ぎ、もうすっかり12月だ。
校内には雪が降り積もり、もうすぐクリスマスなんだと実感させられる。



ハリーのクィディッチデビュー戦では、ハリーの箒がコントロール不能になって危うくハリーが振り落とされるところだった。

ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人は「スネイプがハリーの箒に呪いをかけていたんだ!」という主張を覆さなかったが、ハグリッドは「そんなことは絶対にねぇ!」と言い切っていた。
もハグリッドの意見に賛成だった。

ハリーはハロウィンの夜、スネイプが三頭犬の裏をかこうとして失敗したんだ、と言った。
はスネイプの言いつけを守り、あの夜のことは誰にも言ってないからハリーがあの足の傷を見てそう思うのも無理はないかもしれない。

でももし、スネイプが本当に三頭犬の守っている何かを手に入れたいのだとしたら、三頭犬がに襲い掛かった時、「それ今だ!」ととっくに仕掛け扉の中に入って、それを入手しているのではないかと思ったのだ。

ハグリッドの滑った口(彼は滑らせてばっかりだ)により仕掛け扉に隠してある大切なものにはニコラス・フラメルという人物が関わっていることがわかった。

達はその日から図書室に通い詰めだ。





その日も達は図書室でニコラス・フラメルの情報を探していた。

「おやおや、
こんなところで無駄な努力をしているのかい、?」

授業中だけでうんざりの声が聞こえた。

「無駄かどうか、やってみなくちゃわからないでしょ?」

は苔生したような色の本から目を離さずに言った。
たちが何の調べものをしているのかは誰にも言わない約束だ。

「ところで、君はクリスマス休暇を学校で過ごすんだろう?
可哀想だね、帰る家の無い不幸な人間は。」

「私は帰る家が無いんじゃなくて、帰りたくても帰れないのよ。」

「おっと、そうだった!これは失礼。」

全然失礼だと思っていない。




「どうだい?
クリスマスに家へ招待してあげようか?
この間、お父様への手紙に君のことを書いたんだ。異世界から来た生徒がいて、しかも日本人だってね。
そうしたら、そんな珍獣、一度見てみたいとおっしゃってね。
お父様の誘いだぜ?
マルフォイ家の格式の高さを体験すれば君の付き合っているお友達が如何に惨めで下らない連中かわかって良い社会勉強になると思うけどねぇ。」



全く素直じゃない。

誘うなら誘うでいいのに、それ以上の嫌味を言うから
本当は何を伝えたいんだかサッパリ分からない。




「お誘いありがとう。
でも、蜘蛛と鼠がいっぱいの黴臭い屋敷には行きたくないわ。私、黴アレルギーなの。
ついでにMとAとLとFとOとYの付く苗字の人にもアレルギーがあってね。その人の家に入ったとたん吐きまくっちゃうから、ごめんなさいね。」

はマルフォイの横をスルリと通り図書室のドアに向かった。




「それと、女性をお誘いするときは単刀直入に用件だけを言ったほうがいいわよ?
恥ずかしいのは分かるけどね。」




誰が好きでお前なんか誘うもんか!!
遠くで、可愛らしく精一杯の悪態をつくマルフォイの声が聞こえた。






クリスマス休暇になると、ハーマイオニーは自宅へ帰った。

「私がいない間も、フラメルを調べてね!」

と言い残していったが、実際はそれ以上にワクワクすることだらけで
フラメル探しに図書室へ行く暇はなかった。




ハリーとロンは暖炉の前でチェスに没頭している。
ロンの腕前は大した物で
は一回もハリーが勝ったところを見たことが無かった。

もやってみる?」

「二人が教えてくれる?
でも、私こういうの全然ダメなの。
日本にもこれに似た将棋っていうのがあるんだけど、それもダメ。オセロも弱いし、カードゲームも負けるし。」

「いいよ!コツが分かれば勝てるよ。」

しかし、二人の伝授空しくはクリスマス休暇中、ハリーの唯一勝てる相手になってしまった。






クリスマスの朝、のベッドの足元にはプレゼントが三つ置いてあった。
一つはハーマイオニーからだ。

「メリークリスマス!にはこれが一番いいと思って選びました。
休暇中に読んでおいてね!」

包みを開けると真新しい本が一冊
『驚きの変身術 マッチ棒からアニメーガスまで』
と書かれている。

変身術はが唯一得意とする科目だ。
すごく読みたくなる題でもあった。


次はハグリッドから
「メリークリスマス、
ちゃんと勉強してるか?こっちの世界でも頑張ってな!」

中はふくろうの木彫り人形だ。
以前、が「自分で稼いでふくろうを買いたい」と話したのを覚えていたのだろう。
はそれを出窓に飾った。


最後はダンブルドアだ
、もうここの生活には慣れかの?
君の奇跡を存分に味わうことじゃ。メリークリスマス」

中身はお菓子セットだ。
見たことのない、味の予想もつかないお菓子が袋の中にギュウギュウに詰まっていた。

はさっそく三人にカードを書いてふくろう小屋で寒そうに丸まっている気の優しそうな一匹に手紙を頼んだ。