連日の慣れない授業と容赦なく出される課題に、流石のも心底疲れていた。 前にも言ったように、は魔法薬学が苦手だ。 ついでにスネイプも嫌いだ。 理不尽な理由で減点するし、とハリーを目の敵にしてまるで拷問だ。 あの嫌味なマルフォイも魔法薬学の時には水を得た魚のように一層生き生きと嫌味を言ってくる。 は牢獄教室には、出来れば一生足を踏み入れたくなかった。 スネイプの授業とは違った意味で、クィレル先生の闇の魔術に対する防衛術の授業も苦手だった。 教室には吸血鬼除けのニンニクがツララのように沢山吊り下がっていて、プンプン臭った。 先生は自分の発言にいちいち怯えているし、趣味の悪い変な紫のターバンを巻いていた。 はそのターバンが嫌いだった。 理由は良く分からないが、(もしかしたら、あの中にニンニクを詰めているという噂を聞いたからかもしれないが)生理的に受け付けない。 はクィレル先生の授業のときはなるべく先生を見ないように下を向いていることが多かった。 フリットウィック先生の呪文学は面白かった。 授業はもちろん、先生の一挙手一動が面白い、先生は小さくてまるで小人のようで、いちいちチョコチョコ動き回った。 出来るか不安だった杖使いも何とかやってのけた。 この学校で唯一のゴースト先生であるビンズ先生の魔法史は眠気との闘いだったが、授業中に自分なりにまとめたノートを作って、自習のように過ごした。 スプラウト先生の薬草学とフーチ先生の箒飛行術は、屋外に移動しての授業なので、いい気分転換になる。箒に乗るのも植木を弄るのも特に苦労しなかった。 厳格なマクゴナガル先生の変身術の最初の授業では、マッチ棒を針に変えるという課題がでた。みんな必死に杖を振っていたが、きちんと針に変わったのはハーマイオニーと、なんとだけだった。 ハーマイオニーは、全科目とても優秀だから「出来て当たり前」という雰囲気がクラス中に広がっていたが、が一回で成功するとはみんな(ですら)思っていなかったので、とても嬉しかった。 得意科目というのは誰にでもあるようだ。 そんなこんなで、が疲れてグゥグゥ寝ている間に ハリー、ロン、ハーマイオニー、そして何故かネビルの四人(正確にはハーマイオニーとネビルは成り行き上、ハリーとロンに付いていくことになってしまったのだが)は、スリザリンの一番嫌味な奴、ドラコ・マルフォイに嗾けられた真夜中の決闘をうけるためにトロフィー室に出かけ、まんまとマルフォイの罠にかかりフィルチに捕まるところだった。 フィルチの手を逃れる為に四階の立ち入り禁止区域に入り、鍵のかかった廊下で見上げるほど大きい、しかも頭が三つの怪物犬と出会ったらしい。 ロンは怪物犬をどれほど素早くかわし、どれほど理性的に怪物から逃げてきたかをに話して聞かせた。 は、よくフィルチに捕まらなかったと感心した。 ハーマイオニーはその出来事からとても機嫌が悪く、宿題の手伝いでの一人部屋に来た時にも大いに愚痴をこぼした。 「まったく、あの二人ときたら!夜中に校内をうろつくのがどんなに危ない事か、全然分かってないのよ!」 「そうね、この学校昼間だって危ないし。」 「あの二人の軽率な行動のお陰で、グリフィンドールが減点されるのは耐えられないわ!」 「・・・・私もスネイプ先生にかなり減点されてるから、人の事は言えないわ。」 苦笑いをしたは、真夜中の大冒険について素朴な疑問をもっていた。 「ところで、なんで校内に三頭犬がいるのかしら?飼うのならハグリッドのところでいいと思わない?彼、そういうの好きそうだし。」 ハーマイオニーは意味ありげな顔をすると、頭を低くしてに囁いた。 「冷静に状況を見ていた(?)私は、こう思うの・・・・」 がハーマイオニーと同じように頭を低くして近寄ると、彼女は一層声を潜めて言った。 「あの廊下には、何かとても大切なものが隠してあるのよ・・・・。三頭犬の足元には仕掛け扉があったの!」 「三頭犬は、その仕掛け扉の中の何かを守っているというの?」 「そうよ!きっとそうに違いないわ!」 三頭犬のことは気にはなったが、そんな凶暴な動物が守っているなら、 どんな大切なものでも安心できるだろうと思って考えないようにした。 |