「あら、ネビル?!」 ネビルは壁にもたれ薬草学の本を読んでいた。 「どうしたの、もうランチの時間でしょ?」 「あのっ、いつもスネイプ先生に居残りをさせられるのはボクだから・・・今日だって、ボクも上手く薬を作れなかったのに・・・・ボクの代わりに君が居残りをさせられてる気がして・・・・、だから、だからボクッ・・・・」 ネビルはたどたどしく言葉を紡いだ。人と話をするのは苦手らしい、特に異性の場合は顕著だ。 「ありがとう、気を遣ってくれたのね? でも、私が魔法薬学で居残りさせられるのはネビルのせいじゃないわ。私の頭が悪いだけ。」 は笑って言った。 「・・・・っ」 「それと、私のことはって呼んで。」 何か言いたげに顔を上げたネビルを制してウインクした。 「さあ、ランチに行きましょう!スネイプ先生の居残りのせいでお腹ぺこぺこよ。」 「・・・OK!」 笑顔になったネビルと共に大広間へ向かった。 こういう、おっちょこちょいで優しい子はかわいいなぁ。 いつも何かやらかしちゃうんだけど憎めないのよね〜。歩きながら親睦を深めようと話をした。 「ネビルは薬草学が好きなのよね?」 「うん、他の教科はほとんど駄目なんだ。得に魔法薬学と箒飛行術。 魔法薬学はスネイプ先生じゃなければもう少し上手く出来ると思うんだけど。箒は・・・・ボク、鈍くさいから。だけど、薬草はとてもおもしろいんだ!見て、この草はね月の光で育てるとあらゆる関節痛が治るんだって!それとこっちのはね・・・・・」 ネビルは持っていた薬草学の本を開いて自分のお気に入りの薬草を説明してくれた。 にはみんな同じ草や木にしか見えなかったけど、普段こんな話を聞いてくれる友達はいないだろうから、相槌を打ちながら聞いた。 「ふうん、本当にネビルは薬草に詳しいのね!!」 「そっ、そうかな?」 ネビルは照れ臭そうに笑った。 「そんなに詳しいんだったら・・・・・ねえ、胸を大きくする草とか、腰を括れさせる実とかは無いの?」 「えっ?・・・・・う〜ん、そういうのはこの本には載ってないなぁ。」 「そっか・・・残念だな。」 少しの沈黙の後、いきなりネビルが切り出した。 「・・・・あのっ、・・・いやはそういうのに興味があるの?」 おそるおそる(こういう表現がネビルには似合う)尋ねる。 「う〜ん、そうねぇ・・・・やっぱりスタイルは良くしたいと思うわよ? でも、こっちの世界でもそんなに簡単に自分が変えられちゃうわけはないか。」 日本では巨乳の部類に入っていたけど、こっちの世界だと標準よりやや大きいくらいになってしまった。人種の違いは大きいとしみじみ感じる。 「でもっ・・・・ボクは今のままではとても素敵だと思うよ。」 顔を赤くしながらネビルは言った。 「ありがとう。ネビルがそう言うんなら、気にしないようにするわ。」 21歳の制服コスプレイヤーに言われればちょっと刺激が強いかもしれない。 の身体を見ないよう、ネビルの視線は泳いでいた。 見た目は彼らと同年代でもが発しているフェロモンが多少はあるようだ。 「でもね、魔法って万能なんじゃないか?って思っちゃうのよね。 私の世界は残念ながら魔法文明は衰退して科学が発展しちゃったから、科学ではまだ達成できない色々なことが魔法界では出来るような気がしちゃうのよ。」 「そうなんだ。」 「そうよ。こっちにきてまだ少ししか経ってないけど魔法って環境に優しそうだし、夢があるし、何より楽しいしね!」 「・・・・がそう言ってくれると、ボクも、う・・うれしいよ。」 「私ね、小さいときから魔法に憧れてたんだ! 映画でね、あっ映画って分かる?動く写真のロングバージョンみたいなやつなんだけど、それでね「科学の世界が魔法の世界に変わっちゃう」ってゆう物語があって、箒や絨毯で空を飛んだり、呪文で物が操れたり・・・私、本当にそうなったらいいなぁってずっと思ってたの。 だから、ここにこれてとっても楽しいわ。ネビルやハリー、ロン、ハーマイオニーにも会えたしね!」 「・・・・・ボッ、ボクも」 照れ笑いをしながらネビルは答えてくれた。 大広間に着くと、もう食事を済ました生徒がチラホラいたがランチタイムには間に合ったようだ。とネビルはハリーたちを見つけて席に着く。 「やあ、ランチには到底間に合わないと思ってたよ。」 「お生憎、私だって4回もミスするほど頭悪くないわよ。」 マッシュポテトを皿に取りながらロンに言った。 「でも、スネイプの居残りは厳しいんじゃないの? ネビルなんていつもすごく落ち込んで帰ってくるわよ?」 ハーマイオニーが心配そうに尋ねた。 「う〜ん、そんなことも無いよ。今日なんか途中でヒントを教えてくれたもん。」 「「「「え〜っ!!!!!」」」」 ハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビルは一斉に言った。 ネビルにいたっては口に入れたパンが床に落ちてしまっていることに気付いていないほどだ。 みんなの叫びに紛れて熱々のスープをが飲みたいなぁと言うと、すぐに湯気の立ったコーンスープがテーブルに現れた。 牢獄教室で冷えた身体を芯から暖めてくれる。 「あのスネイプがヒントだって!!信じられない〜!!!」 大げさに手振りを加えながらロンが言った。 「多分、放っておいたら一生完成しないと思ったんじゃないの?」 チキンウイング焼きを頬張りながら事も無げに言った。 下手に弁解して、スネイプとの変な噂がたっても面倒くさい。 「うえ〜っ、気持ちわり〜!」 「庭で転がってるを発見したのはスネイプ先生だし、異界の人間を連れてきちゃった事に責任を感じてるんでしょ?」 「だからってなぁ〜!!」 は黙々と食事をした。なんだかこの話題から早く抜け出したかった。 この子達に、スネイプがだけ特別扱いしているという眼で見られるのはなんともむず痒い。 「よう!君の大人の扉はいつオープンしたんだい?」 双子のウィズリー兄弟、フレッドとジョージがタイミングよくやってきてくれた。 話の内容はともかく。 「・・・・二人とも発情期?」 私は茹でたカリフラワーに塩コショウをかけた。 「ちょっと二人とも!女性に向かって何を聞いてるの?!」 「いいじゃないかハーマイオニー、彼女はもう21歳なんだぜ?こういう話は大人の女性からしか聞けないだろ?」 「そうそう、でもこの学校で大人の女性って言ったらマクゴナガル先生、スプラウト先生、トレローニー先生、マダム・ポンフリー、マダム・ピンスぐらいしかいないじゃないか。ご老体の先生達からこういう実践的で貴重な話は聞けないぜ?」 私の年齢についてはグリフィンドールの生徒にもほとんど言っていないが、 どこから聞きつけたか双子の兄弟はいち早く情報を入手して、事あるごとに下ネタを振ってくる。 二人はケラケラ笑いながらいつものように捲くし立てている。 こういうときも二人の息はぴったりだ。いや、こういうときは特にといったほうが良いか・・・。 食事に集中し、3人の言い争いは聞き流していたが、ハーマイオニーはいよいよ声を荒げた。 「もう!!私は、そんな下らない質問はよしなさいって言っているのよ!!」 ハーマイオニーはドンとテーブルに両手をついて勢い良く立ち上がり、いつものようにプンプンとヒステリー気味に怒っている。 ハーマイオニーは怒るわ双子はそれをからかうわで、せっかくスネイプから開放されて楽しいランチのはずなのにまったく寛げない。 ただでさえ空腹で機嫌が悪いというのに。 痺れを切らした私はバターを塗り途中のトーストを皿に置き、双子のネクタイを思い切り掴んで顔の前まで引っ張った。 「・・・・柔らかくて暖かいところに包まれた素晴らしい感覚を知りたいんだったら、二人一緒に私で教えてあげてもいいけど・・・・ 私のこと愛してないなら手と口でしかしてあげないわよ?貴方達にはそれでも十分気持ちいいと思うけどね。」 虚ろな瞳で視線を交わし、鼻先に息を吹きかけながら色気たっぷりに言ってやった。伊達に21年間女をやっているわけではない。 二人は焦点の定まらない眼でを見ている。 顎をつるりと撫でてやると意識が戻ったようで、そそくさと大広間から出て行った。 マントで前を隠しながら・・・。 双子を見送ると、は黙々と食事を続けた。 「ちょっ・・・・ッ!!!」 ハーマイオニーは真っ赤になってやっとの名前を呼んだ。 「ハーマイオニーも知りたい?女同士の・・・・」 「もう!なんて知らない!!!」 ふわふわの髪の毛を靡かせ、ローブを勢い良く翻し大広間から出て行ってしまった。 ちょっとからかいすぎたかな? 周りの男子諸君は下を向いて固まっている。思春期の純情な自身が収まるまではこのままだろう。 やっと静かにランチが楽しめる。はトーストとコーンスープのを楽しんだ。 |