あの双子にはしてやられたな




「親愛なるルーピン先生
お元気ですか?私は相変わらず元気です。
が、来年度から先生の授業が受けられなくなるのがとても残念です。
今年の夏期休暇は両親が仕事の都合で中国に行っているため、漏れ鍋に宿泊しています。この機会にダイアゴン横丁を隅から隅まで散策しようと思っています。
先生に、もしお暇があったら一緒に散策しませんか?
では。
より」





元気そうで何よりだよ。
私はいつでもOKだが、来週の金曜日にそちらへ行くことにするよ。
楽しみにしている。
R.J.ルーピン」


金曜日の10時にルーピンは漏れ鍋に現れた。あいかわらず、ボロボロのローブにヨレヨレのスーツを着ている。顔色は悪いが元気そうだ。

「やあ、!元気そうだね。」

「こんにちは先生。先生もお元気そうで!」



は挨拶もそこそこにさっそく行動を開始した。

「先生、今日はまずショッピングから始めましょう!先生はとってもハンサムなのに、服装にまったく無頓着なんだから勿体無いです。」

は半ば強引にルーピンをロンドンの街へ連れ出した。



「いいよ、私は服にはあまり拘らないから。」

「遠慮しないで!先生はスタイルもいいし、マグルの流行の格好も結構似合うと思います。」

はマグル出身の魔女で、ロンドンの街は庭のようなものだ。他の店には目もくれず、の気に入っているお店に入った。




店内でもルーピンの格好は浮いていた。
店員はルーピンに対してあからさまに嫌な顔をしている。
はそんな視線は無視し、予め目を付けていた商品をかき集めると試着室にルーピンごと押し込めた。




「先生、着方はわかります?」

、私はそこまで世間知らずじゃないよ!」




試着室のカーテンを開けてルーピンが出てきた。
白地に黒いストライプのYシャツに茶色のジャケット。黒のタイトなパンツはルーピンの脚の長さを強調していて、とてもスタイリッシュだ。


「なかなかいいと思いません?」


試着室の姿見で全身を見せながら、きっちり首まで止めてあるシャツのボタンを3つ外してみた。
思った以上に似合っている。

「マグルの間ではこういう格好が流行っているのかい?」

「流行ってるというよりは、私が好きな格好です。先生はきっと、何を着てもお似合いですよ?」


試着品を丸ごと会計しそのまま店を出た。


は益々ハンサムになったルーピンを連れてロンドンの街を探索したあと、ダイアゴン横丁へ向かい、フローリアン・フォーテスキュー・アイスクリーム・パーラーでアイスクリームを注文し、食べながら漏れ鍋に戻った。





は漏れ鍋の角部屋に宿泊している。
少々狭いがベッドは寝心地がいいし、暖炉もバスルームも付いていて快適だった。

はルーピンに丸テーブルに備え付けられている椅子へ座るように促した。

「ゆっくりしてってください。今、飲み物を注文してきます。」



は漏れ鍋のカウンターにいるトムに何か飲み物を頼みに行こうとしたが、春頃フレッドとジョージに貰った瓶入りのバタービールを思い出した。



「三本の箒名物のバタービールがありますよ?」

「それをどうしたんだい?君は確かホグズミードには行ってないだろう。」

は瓶を2本掴んでテーブルに持っていった。

「ウィズリー家の才能溢れる双子のフレッドとジョージがくれたんですけど、変なものは入っていないと思います。私、学校で1本飲んでみたので。」

ルーピンが杖を振るとポンポンと音を立てて蓋が開いた。

「じゃあ安心だね。フレッドとジョージも良い所があるじゃないか。」

「そうですね!
・・・・でも、二人が今すぐ飲めっていうから目の前で飲んだんですけど、普通に開けて普通に飲み干したら、ちょっと残念そうな顔してました。なにか仕掛けておいて、失敗したのかもしれません・・・でも、味はきちんとしたバタービールでしたよ。」

二人は瓶を手に取る。

「では、二人の再会とフレッドとジョージに!乾杯!」

一瞬で身体の心から指先まで暖まった。




バタービールを飲みながら達は色々な話をした。
約2ヶ月振りに会ったルーピンはよくしゃべり、笑った。

部屋は締め切った窓とバタービールのせいで少し暑くなってきた。



「ちょっと暑いですね。窓を開けます。」


立ち上がろうとするをルーピンは止めた。


、このバタービールはやはり変だよ。」

「・・・・どうかしました?」




はボーっとルーピンを見た。何故か視線が定まらない。




「・・・・・私としたことが、気付かずに飲んでしまった。」

「何?何か入っていたんです?」


はベッド脇にある水差しから水を注ごうとしたが、脚が縺れ躓いてベッドに倒れてしまった。

高熱が出た時みたいに熱く、ふらふらして身体の自由がきかない。







「フレッドとジョージは愛の妙薬をバタービールに入れたんだろう。」







「うそっ?!だって学校で飲んだやつは何ともなかったのに?」

「その瓶だけ不完全だったのか、時間を置いたから効果がでるようになったのかは分からないけどね。双子は君に目をつけていたようだね。」


ルーピンの話は頭の中でグルグル回るが半分も理解できなかった。


ルーピンはの隣に座った。
何だかいつもよりハンサムに見える。





「・・・・・?」

はルーピンに凭れかかった。
一人で身体を支えるのがとても辛い。
ルーピンはの肩に腕を回した。
温かくて優しい腕だった。

「ルーピン先生、先生ってとってもいい男性ですよね・・・・。」

ルーピンはの髪を撫でた。
はとても気持ち良さそうに目を瞑った。







このまま・・・・・










「駄目だ、!しっかりしてくれ!」

ルーピンは何かを振り切るように頭を振ると、の両肩を掴んだ。

「・・・・・・・・、君を大人と見込んで話すよ?」






「私は今ちょっと困ったことになっているんだ。」






「薬剤効果というか、生理現象というか・・・・制御不能なんだよ。」



チラリとルーピンの視線が自身の下半身に向けられた。
も合わせて視線を移動させる。







「・・・・・・・せっ、先生!?!」

はもう目が放せない!
ルーピンの股間には特大のマグナムがっ!!
準備万端!発射の時はまだかと待ち構えている。

(・・・・・さっ、流石に人狼!アソコもワイルドだわ!!)



「こらっ!!!見ないでいいから!」

はルーピンの下半身に釘付けになった視線を無理矢理持ち上げられ、肩を掴まれた。

ルーピンは相当必死だ。

恥ずかしいやら、もどかしいやら何とも微妙な表情をしている。
も益々身体が熱くなってくる。

は『そのマグナム、欲しくて堪らない!』という顔をしたのだろう。
ルーピンは大いに息を吐きながら眼を逸らした。

その隙には、また目線を下にやる。




「・・・・・先生の、すごくおっきい・・・・」

「見ちゃダメだって、言ってるだろう?!」

「・・・・・・・・・・・だって先生の、に会いたがってる。」

(まずいって!!!!!そんなこと言わないでくれ!!)

ルーピンは理性を総動員だ!!!





を襲いたい!
いや、ダメだ!!


を犯したい!
ダメだ!


の喘ぐ姿をみたい!
・・・・ダメだ!?


を嘗め回したい!
・・・・・・・・・・ダメか?

(あれっ?)


を愛撫したいっ!
弄りたいっ!
咥えさせたいっ!
自慢のマグマムで突き上げたいっ!







もうっ・・・・メチャクチャにしたいっっっ!

(欲望MAX!!)






「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

ルーピンは肩で息をしている。













ルーピンはスクッと立ち上がった。

、私はこれからバスルームに立て籠もるけど気にしないでくれ。君はベッドで休んでいるといい。」







「先生?・・・・大丈夫?」

冷や汗を流して、益々顔色の悪いルーピン。

はルーピンの凄まじい慌てっぷりに心配して顔を覗き込んだ。

(ああっ!ッ!
ダメだ!その顔は逆効果だって!!!
息が上がってるし上目遣いだし、とろけた身体に潤んだ瞳。充血した赤い唇、ため息混じりの言葉。
・・・・・・って、実は誘い上手?)




「・・・・・っ!そんな顔をしないでくれ。」

たのむから!とルーピンは下を向き、何かを吹っ切るように頭を激しく振った。





「・・・・・・・いいかい?私の事は気にしなくて平気だからね。
君は君のやるべき事をしておくんだよ?」

ギュッと短く抱きしめられ

「じゃあ、また後で!」

ルーピンはするりとバスルームへ消えた。
二人は同じ部屋に居ながら、別々の空間で虚しい時間を過ごした。











「まいったな。」
ルーピンはバスルームから出てきた。

あれから数十分経過。
二人ともにドッと疲れている。
特にルーピンは、相当やつれている。



「さっきは、もう少しでを襲ってしまいそうだったよ。」








「あら私、先生なら大歓迎よ?」

は本気で答えた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ!?そうなの??」

はコクリと頷いた。

「でも、またの機会にね!」

は舌を出して笑った。


(私としたことが勿体無い!!
を我が物に出来る絶好のチャンスだったのに!!)








「ねえ先生、お昼寝しましょう。」

は毛布を捲ってベッドに入るように促した。

「一緒のベッドでかい?」

「だって疲れたでしょう?私もクタクタ。」




は、早く!とベッドの空いている側を叩く。

「わかったよ。」

ルーピンは「しょうがないな」との隣に潜り込んだ。






「1時間くらいだよ?」

「OK。」

はルーピンの温もりを隣に感じながらまどろんだ。







「・・・・クィディッチ・ワールドカップでウィズリー家に行くから、そのとき双子をやっつけておきますね。」

「双子には気をつけるんだよ?」

「平気です!私、こう見えても強いんですよ?」

(・・・・・さっきの見事な誘いっぷりで、よくそんなことが言えるな?)

「それに、悪い虫が・・・・付きそうになったら・・・・先生が、追い払って・・・・くれるも・・・ん・・」

は眠りについた。













■おまけ■

「スースー・・・・・あん・・・・せんせ・・・・・」

「?!」

「・・・・・そんな、に・・・・はげしく・・・しない・・・でぇ、よぉ・・・・スースー」

「!!!!!」

「・・・・・せんせ、には・・・・・・・・・・・みせて・・・・あ・・げ・・る・・・・・スーーッ」

「!!!!!!!!!!!(何見せてくれるのっ?!)」




ルーピンがの無防備な寝顔と、楽しそうな夢の寝言のせいで一睡もできなかったのは、言うまでもない。