・・・・・何故、我輩はいつも睨まれているのだ?

我輩は、グリフィンドール寮以外の生徒はイビッていないつもりだが・・・・。

あいつは授業中、何故あんなに強烈に我輩を睨むのだ?

分からない・・・。









睨んだ理由











ホグワーツ魔法魔術学校には四つの寮がある。
それぞれに特色があり、一番本人に合った寮に入り、そこが学校生活中の家となる。

グリフィンドールは勇気のある者、ハッフルパフは忠実で忍耐強い者、レイブンクローは機知に富む者、スリザリンは狡猾な者。

こんな分かれ方なので寮により、生徒の顔付きにも差がある。




しかし、はハッフルパフ生らしからぬ目つきの悪さだ。

ハッフルパフといえば、優しくて温和な顔つきの生徒が多い。
しかしの場合、スリザリン生と間違われそうなほど険しい顔をしている。







、何で僕の事、睨んでるの?」

ある日、グリフィンドールのハリー・ポッターに尋ねられた。

「えっ?私、睨んでた?」

「うん、すごく怖いよ。僕君に何かしたっけ?」

「ごめんね〜。睨んでる気は全然無いんだけど・・・・ただ、見てただけよ?」

「じゃあは素の顔がそんなに凶悪なの?」

「う〜ん、そんなこともないと思うんだけど・・・・・普通にしてると視界がぼやけちゃうのよね。」





「・・・・・・・、それって目が悪いんじゃない?」

「えっ?そうなの?!」

「僕の眼鏡、かけてみる?」

ハリーはに眼鏡を差し出す。

「・・・・・・・あっ!よく見える!!」

「ほら、僕の言ったとおりだ!は目が悪いから、焦点を調節するために、しかめっ面になってたんだよ!」

「そうだったんだ!じゃあ、私も眼鏡作ろう!!」



は早速、ハッフルパフ寮監で薬草学の先生でもあるスプラウト先生に相談した。

外出は基本的に許されないが、勉学に支障をきたす事柄なので、次の週末にダイアゴン横丁に出かける許可がおりた。








「へへへっ、どう?似合うかな?」

は新調した眼鏡をかけてハリーのところへ行った。

ハッフルパフの寮色は黄色と黒。は黄色系が好きなので、黄色と橙色の中間のような蜜柑色のフレームを選んだ。丸く可愛らしい曲線が印象的な眼鏡で、とてもに似合っていた。

、とっても可愛いよ!」

ハリーはの変わり振りに目を白黒させた。

今までの眉間と額の皺は見事になくなり、大きい目と長い睫が引き立ってとても印象的だ。

「ワァオ!すごい豹変の仕方!!」

ハリーの友達のロン・ウィーズリーも驚きの表情を隠せない。






って実はとっても可愛かったんだぁ!!)

ハリーとロンは心の中で叫んだ。


なかなかの評判とハッキリした視界では益々がんばって勉強した。





















今日は突き刺さる視線を感じないな?

あいつは欠席か?

・・・・・・・いや、出席しているな。








・・・・・おや?眼鏡をかけたのか。



















ある日は、ハッフルパフ生の魔法薬学のレポートを纏めて提出しに来た。

スネイプの私室のドアをノックする。

「誰だ?」

「ハッフルパフのです。レポートを提出しに来ました。」

「入りたまえ。」

「失礼します。」

は椅子に腰掛けているスネイプの前で立ち止まった。




です。レポートは何処に置けばよろしいでしょうか?」

「その机に置き給え。」

「はい。」

は机にレポートを置く。

「・・・・・・・・・・・ミス・、眼鏡をかけたのかね?」

「えっ?!はい。私、よく目つきが悪いって言われていたんですが、どうやら視力が低下していたせいだったようで。」


スネイプに気が付いてもらって嬉しそうな


「だから授業中、我輩を睨んでいたのかね?」

「ええっっ?!!睨んでました?」

「スリザリン生も真っ青の迫力ある睨み方だった。」

「すっ、すいません!睨んでいたのではなく、スネイプ先生の教室は暗いので、余計目を細めないと黒板が見えなくて・・・・。」

「黒板ではない、我輩を見ていただろう?」

「あっ、のっ・・・・」

「どうなのだ?」





「・・・・・すいません、見ていました。これからはもっと授業に集中します。」




「なぜ我輩を見ていたのかね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「言えぬ理由か?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スネイプ先生、素敵だなぁ・・・と思って。」

「我輩が?!」

「・・・・・・頭が良くて、ハンサムで、厳しくて、素敵だなぁと。」





「我輩も、ミス・の睨みは気に入っている。」

「は?」

「だが、柔和な顔もなかなか良いな。」


の耳は真っ赤だ。

「・・・・・・似合っているぞ、眼鏡。今まで判らなかったが、可愛らしい顔をしているではないか?」

スネイプは椅子から立ち上がる。





「我輩の好みだ。」

「そんなっ!」

はお湯が沸かせるほど熱くなった頬を両手で覆った。

「我輩は、ミス・の思いを受け取ってもよいか?」

「・・・・・・・・・・・・もっ、もちろんです!」








この日から、スネイプとの関係が始まった。





!一緒に昼食しないか?」

、宿題を手伝ってあげるよ!」

ッ!」


可愛く変身したには取り巻きが沢山ついてしまった。

面白くないスネイプは


『授業中以外、眼鏡をかけるのは禁止令』


を出したそうな☆