女の子って、色々気を遣って大変だな。 「私、太ったかな?」 「えっ?何で?」 女子寮ではリリーに突然訊ねた。 「実は・・・・・この頃、下着がキツくて。」 「う〜ん、太った感じはしないわよ?」 「でも、ブラジャーに胸がうまく入らなくて、お肉が腋に流れちゃうの。」 「・・・・・・・・・それって、ブラジャーのカップが合ってないんじゃない?」 「じゃあ、やっぱり太ったんだ・・・・・。」 「そうじゃないわよ、多分胸が大きくなったのよ。」 「でも・・・・・。」 「じゃあ、新学期が始まる前にロンドンでランジェリーショップに行ってみたら?私も一緒に行ってあげるから!」 「リリーが一緒なら・・・・・・」 「と、いうことで。新学期の学用品を揃えるついでに、私とはロンドンの街で買い物するから、ジェームズは男の子たちとダイアゴン横丁で待っててね!」 「僕も一緒に行きたい。」 「ダメよ!私の買い物じゃなくて、の買い物なんだから!」 「・・・・(ショボン)」 「ジェームズ、私が下着を買いに行くときには付いてきていいから!」 「本当?!約束だよ!!」 「ええ、もちろん!」 夏期休暇の最終日、予定通りロンドンのダイアゴン横丁で学用品の買い物をした。 「じゃあジェームズ、行ってくるわね!」 「ああ、気をつけて!」 「ジェームズ、何しに行ったんだよ、リリーとは?」 「リリーがの下着を見立ててあげるんだって。」 「何っ?!どうしてそんな重大なことを俺に言わなかったんだ?!」 「えっ?言う必要無いでしょ?」 「ありだ!アリアリ!!」 「僕、後つけちゃおう!」 「待て!俺も行く!!」 「ダメだって!!僕がリリーに怒られるだろ?」 「この衝動は抑えきれない!!!行くぞリーマスッ!!!」 「ちょっ!ホントにやめてくれよ!!」 必死でシリウスとリーマスを止めるジェームズ。 「無理だ!」 「無理だね!」 「わかったよ!じゃあ、透明マントを貸すから、絶対二人に気付かれないようにしろよ?!」 「親友よ、君との約束は破らない!」 「ジェームズ、聞き分けがいいねぇ!」 「ここよ、。結構リーズナブルで、質がいい品が揃ってるの。」 「うん!」 リリーとは連れ立ってランジェリーショップに入った。 「あの、この子のサイズに合ったブラジャーを探しているんですが。」 「かしこまりました。それではサイズを測らせていただきます。」 店員は慣れた手つきで服の上からサイズを測る。 「アンダー65ですね。今お召しのカップは?」 「65のDカップなんですけど、腋にお肉が余っちゃうんです。」 「では、1カップ上のサイズをお出ししますね。少々お待ちください。」 (ってDカップだったんだぁ・・・) (着痩せするんだな、の奴) 「お待たせいたしました。それではフィッティングルームへどうぞ。お召しになったら、お呼びください。」 はそそくさと試着する。 「どうぞ。」 「失礼します。・・・・・・・まだ少し小さいようですね。もう一点お持ちします。」 店員は先ほどと同じデザインでサイズの違う商品を持ってきた。 「いかがですか?」 「あのっ・・・・私ってこんなに胸大きいんですか?」 「こちらがお客様にピッタリのサイズです。シルエットも綺麗に出ていますよ? 後は、お客様のお気に召したデザインをお選びください。当店の下着は商品によってサイズが違うことはございませんから、どうぞごゆっくり。」 「、やっぱり胸が大きくなっただけじゃない! 2サイズも小さいのを付けてたら、お肉があまるわけよ。」 (2サイズ?) (最初がDカップだったから・・・・) ((Fカップ?!?!)) (すげっ・・・・・あの身体でFカップかよ?!) (ってとってもグラマーなんだぁ!!) 「これなんかいいんじゃない?可愛いし、に似合うと思うわ!」 リリーが手に取ったのはピンク地に白いレースのあしらわれた清楚なブラジャーだった。 「じゃあ、試着してみるね!」 (おい、リーマス!) (わかってるよ、シリウス!) が試着室のカーテンを開けた瞬間 ((今だぁっ!!)) 二人はスルリとと一緒に試着室へ入った。 (成功だ!) (問題なし!!) 二人は試着室のカーテンの向かい側にある鏡にピッタリと張り付いた。 6人は入れそうな広めの試着室は、二人が鏡にくっ付いていればに触れる心配はほとんど無い。 がブラウスのボタンを一つまた一つと外していく。 肩に続き、美しい腰のラインとブラジャーが露わになった。 (・・・・・俺、我慢できるかな?) (ここで見つかったら殺されるよ?リリーに。) しかし、二人の期待虚しく、はカーテンの方を向いて下着を外した。 (チックショー!!肝心なところが見えない!) (大丈夫、まだチャンスはあるから!) は試着品に肩を通し、背中で起用にホックを留めると振り向いた。 (ワァオッ!!) (、カワイイ〜!!) 幼い顔立ちのにそのブラジャーはとてもよく似合っていた。 「リリー、ちょっと見てくれる?」 「どれどれ?・・・・・・あらっ、すごくいいじゃない!!一つはそれに決めたら?」 「うん!私も気に入った!!」 「じゃあ次ね!着替えて出てらっしゃい。」 「うん!」 またもは鏡に背を向けて着替えると、試着室から出て行った。 (なぁ・・・ここに居たら、また入ってくるかな?) (そうだね、じゃあここで待ってよう!) 「これなんかもいいんじゃない?大人っぽくって。」 「だって、これ透けてるよ?」 「いいのよ、ちょっとぐらい透けてる方が!」 「・・・・・何がいいのか分からないよ。」 店内から聞こえてくるリリーとのやり取りにドキドキしながらの入ってくるのを待つ二人。 「ちょっと店員さん?これ試着していいザマスか?」 「はい、ではこちらのフィッティングルームへどうぞ。」 ((!!!!!!!)) 二人の居る試着室に入ってきたのは丸々太った50過ぎのおばさん! (嫌だ!!こんな奴の裸なんか見たくない!!脱出するぞリーマス!!) (ダメだよ、この人太すぎて脇を通れない!) しっかり二人と向かい合わせになり、黙々と服を脱ぐおばさん。 (リーマス!見るな!!見ると死ぬぞ!!!) (見ちゃいけないと思っても、怖いもの見たさで・・・・・・) ((オエーーーーーーーッッッ!!!)) 「この下着、私に全然合わないザマス!!失礼するザマス!!!」 おばさんは、自分が太っていることを棚に上げてプンプン怒って帰ってしまった。 (早くここを出よう!またあんなのが来たらシャレにならん!!) (同感。) 細心の注意を払ってフィッティングルームをでる二人。 隣のフィッティングルームにはが入っているようだ。 「、カーテン開けていい?今、店員さん以外誰もいないから!」 「ええっ?!ヤダよぉ〜。」 「大丈夫!絶対似合ってるから!!」 リリーは強引にカーテンを開けた。 「ほら、私の思ったとおりっ!」 「素晴らしいです、お客様!」 (うわっっ!!!) (ヒャーーーッ!!!) はサーモンピンクのブラジャーとパンティ、それと揃いのスリップを着ている。 スリップはネックラインから胸のリボン、フロントのスプリット、裾にかけて華やかなレースに包まれ、シフォンの身生地は地肌が透けてしまうほど薄い。スリップから覗く丸く大きな胸を包み込むブラジャーのネックラインから通るサテンリボンと、パンティのサイドストリングが同じ素材で、細く危うい心もとなさが男心を擽る。 かわいらしいの為にあるような下着だった。 (ちょっ・・・・これはマズイ!!) (シッ、シゲキが強すぎるよ・・・・・・) 「こちらの商品は、ベビードールと申しまして、当店でも人気のシリーズです。お客様、本当に良くお似合いで!」 「あっ、ありがとうございます//////」 「ッ!後ろ向いて!!」 「えっ?!・・・・・・こう?」 (なっっっっっっっ!!!!) (もう、僕ダメ〜ッ!!!) 後ろを向いたのお尻は最低限のレースしか施されておらず・・・・・いわゆるTバックというヤツで、顔だけリリーの方に向いているポーズが、また予想以上の色気を醸し出している。 「?」 「・・・・・・ありがとう。それは私が買ってあげる、あなたにプレゼントするわ!」 「えっ?!いいのっ?!!!」 「もちろん!さあ、カーテンを閉めるわよ?ゆっくり着替えて頂戴。」 「は〜い!」 (・・・・俺、大変なんだけど?) (僕もだよ・・・・?) 「お二人さん?外に出てもらいましょうか?」 ((!!!!!!!!)) サァッと全身の血の気が引く二人。 二人は透明マントを着たまま、店の外に引っ張り出された。 「何をやっていたかなんて野暮なことは聞かないわ!には黙っててあげるから、さっさとジェームズのところに行ってなさい!!!」 「「はいっっっ!!!」」 二人は全力疾走でダイアゴン横丁まで戻った。 「今日はありがとうリリー!お陰でとってもいい買い物ができたわ!」 「それはよかったわ。・・・・・・さて、私はお仕置きを考えなきゃ!」 「えっ?なになに??」 「なんでもないわ、気にしないで!」 それから3ヶ月間、ジェームズ、シリウス、リーマスの3人に 『イタズラ、イジメ、ケンカ、お菓子禁止令』 という地獄のようなお仕置きが言い渡されたという。 ジェームズ以外は、の可愛らしいベビードール姿を思い起こして、お仕置きに耐えたのは言うまでも無い。 |