私の好きな人「ねぇ、リリー・・・・私、好きな人がいるの。」 それはの突然の告白だった。 中庭で話している二人の後ろをたまたま通りかかったジェームズ、シリウス、リーマス、ピーターは驚きのあまり立ち止まり、身を潜めて耳を欹てた。 「まぁっ!にもとうとう春がやってきたのね?!」 は頬を赤らめて照れ笑いした。 「ねぇ!どんな人?!まだ告白してないんでしょう?」 「告白なんてっ! ・・・・・そうだなぁ、彼、優しくてユーモアがあって、とっても大人なの。」 「彼には付き合ってる人はいそうなの?」 「わからないわ、謎が多い人だから・・・・。」 寮の自室に戻った「欹て隊」は脳細胞をフル回転して考える。 「優しくて、大人な奴・・・・」 「この時点で、絶対シリウスじゃないね。」 「何でだよ?!」 「シリウスはやることなすこと全部幼稚じゃないか。」 「この間だって、に『もっと大人になりなさい!』って叱られてただろう?」 「・・・・・・・・・・・・・・・ふん!!」 「ユーモアがあるとも言ってたね。」 「俺はユーモアの塊だぞっ!!」 「だけど、大人じゃないじゃん。」 「うっ・・・・。」 「この段階で、一番近いのは僕だよね〜!!」 「でも、謎が多い奴らしいじゃないか。」 「・・・・・・・・・僕が人狼だってことも、は知ってる。」 「じゃあ、リーマスでもないな!」 「・・・・・・・・・・・・・・グリフィンドールの奴じゃないのか?」 「この学校で、優しくて、ユーモアがあって、大人で、謎が多い奴・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・もしかして、セブルス?」 「まっさかぁ〜!!!」 「あいつの何処にユーモアがあるんだよ?!」 「でも、の笑いのツボってちょっと人とズレてるじゃない?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・確かに。」 「じゃあっ、が好きな奴ってセブルスかよ?!」 「悔しいけど、今のところ最有力候補だね。」 それから、の観察が始まった。 魔法薬学の授業中、の世話を一番焼いているのはセブルスだ。 図書室で自習をしているときにいつもの近くにいるのはセブルスだ。 なんだかんだ言って、結構セブルスはと接点があった。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「セブルスで決定か?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「ふぅ・・・・・どうやら、そうみたいだな。」 「・・・・・・・・・・・・・・・俺は認めないぞ!」 「シリウス、そういう所が子供だって言うんだよ?」 「なんだよ!!リーマスは好きな女を取られて、悔しくないのかよ?!」 「悔しいけどさ、が選んだんだからしょうがないだろ?」 「俺は、リーマスみたいに、のこと諦められない!」 「僕だって諦められないよ!」 「シリウスもリーマスも落ち着けよ。とりあえず、のこと見守ってやろうよ。なっ?」 目に見えて落胆しているシリウスとリーマス。その姿を静かに見守るジェームズとピーター。 ある日の変身術の授業でのことだった。 「この間のレポートを返す。皆、なかなかの出来じゃったぞ?」 授業が終わると素早い足取りでがダンブルドア先生の元へ向かった。 「先生!私のレポート本当にAAAですかっ?!」 「そうじゃ、よく頑張ったのう。」 「あっ、ありがとうございます!!!」 は満面の笑みで頬を赤く染めた。 嬉しそうにリリーに駆け寄る。 「よかったね、!憧れのダンブルドア先生に褒めてもらって!!」 「うん!もう先生のこと、ますます好きになっちゃうっ!!!」 「??????」 「優しくて・・・・・」 「確かに優しいな、厳しくもあるけど。」 「ユーモアがあって・・・・・・・」 「先生はユーモアの塊だな、シリウス以上に。」 「大人で・・・・・・」 「多分、100歳は過ぎてるしな。」 「謎が多い・・・・・・・」 「そう言われるとダンブルドア先生の事、誰も詳しく知らないな。」 「ねぇリリー、の好きな人って、ダンブルドア先生なの?」 「そおよ! まぁ、思春期の女の子が年上の男性に憧れるってよくある話じゃない? のダンブルドア先生に対する感情もそれだと思うけど、『恋してる』って思ってる本人はそういう区別つかないでしょ?」 「・・・・・・・・・・・・・・勝てないな。」 「うん、ちょっと無理だね。」 のダンブルドアに対する気持ちが、憧れであるよう切実に願うシリウスとリーマスだった。 |